14フィート超高速グリーンの常態化に向かって
常務取締役コース管理部長 石井浩貴
35年も前に300ヤード時代を予見したJ.M.ポーレットの優れた設計哲学を守り抜くのは容易な仕事ではありません。また泣き言をいうわけではないですが、早川会長の厳しい姿勢の中でグリーンキーパーの大役を担っていくのも並大抵ではありません。
ゴルフ場は広大です、細部に至るまでバランスよく維持管理していくこと、その上で14フィート超高速グリーンへのチャレンジ、仕事内容の重責を痛感しています。
会社は人材で動くといわれます。会長も渋谷総支配人も、そして私自身もスタッフの能力、仕事ぶりを最大化するために毎日頭を使っています。「自立・研究・工夫・即実践・スピード」を督励してスタッフの成長を促しています。その甲斐あってスタッフは自立し、観察して研究・工夫・即実践ができるようになってきました。とくに“サブキーパーの川尻”は責任感が強く、私の指示がなくても仕事をこなせるようになりました。ポーレットのレイアウトの細部まで見回して管理作業に生かしてくれています。スタッフの成長が楽しみなこの頃です。
今年の夏季グリーン管理を振り返って
カレドニアン グリーンキーパー/ 石井浩貴
昨年は6月末に早くも梅雨が明け、異常な炎暑が続きグリーンのベント芝が想定以上にやられ、つらい経験をしました。それを教訓として、もっと強いベント芝を作ろうと、日夜研究とテストを繰り返してきました。酷暑の中でも高速グリーンを健康を維持しながらいかに実現させるか、難しい課題に取り組んできました。それにもかかわらず、今年は梅雨開けと同時に物凄い猛暑日が続き、高温乾燥でグリーン芝が一気に赤茶色に焼けてきました。散水に追われたのです。そのために過湿部分が生じ、部分的にダメージを受けて、せっかくのクオリティが維持できなくなりました。ひとつのグリーンでも部分部分で条件が異なることを思い知らされました。ましてや、18ホールのグリーンは繊細に観察と、形状、日照、木陰、風通し、踏圧、刈高などでそれぞれ影響を受けます。炎暑だからと単純な一律散水では痛い目に遭います。
季節に合った刈高調整、エアレーションの深さ、太さ、回数の工夫、肥料、薬剤の調整と撒き方の研究、水分調節による土壌気相の統一化、機械の選定、何よりもスタッフの自立と意欲への教育などなど、超高速グリーンを目指しての「逃げない管理」「科学的メインテナンスへの挑戦」に明け暮れている次第です。
春夏秋冬の四季を通しての健康で安定したバッティングクオリティの高い超高速グリーンの実現に一歩一歩前進して、オーガスタ以上に持っていく執念に燃えています。
スタッフ一同プレイヤーがスリリングでエキサイトするグリーンを何としてでも提供したいと頑張っています。
会員の皆様には、「グリーンのボール跡直し」「目土やバンカー均し」にご協力いただければ誠に幸いに存じます。
健康なみどり輝く芝を追い求めて
裸地との闘い・神は細部に宿る
カレドニアン サブキーパー 川尻信之
カレドニアンのコース管理には二つの目標があります。ひとつは「オーガスタを超える超高速グリーン」。もうひとつは「健康なみどり輝く芝を敷き詰める」でありますが、本当のところ両方とも四季の変化の中で難題です。どこのゴルフ場も追い求めていると思いますが、それを完璧にとなると乗り越えなくてはならない課題が山積です。
2200コースある日本のゴルフ場の中で、カレドニアンが「オンリーワン」を勝ち取るためにコーススタッフは日々研究工夫を重ね、大目標である「オーガスタを超える超高速グリーン」への挑戦と共に「神は細部に宿る」「細かいことをひとつでも疎かにすると全てが台無しになる」との会長の強い信念が浸透し全スタッフは奮い立って仕事をしています。
最近の異常気象下では想定外の現象も起こります。一概に今年成功したことが来年生かされるとは限りません。しかし、生き物である芝を常にハイクオリティに保持するために、異常気象にも対応できるよう極限テストを繰り返して記録して、それをいかに活用するか。経験と勘に頼る管理から科学的管理に移行しています。
カレドニアンコースの品格をさらに高く上げるにはトータルの高品質を常態化しなければならず、日夜苦戦しています。自立、研究、工夫して頑張ります。
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